リノール酸
リノール酸とは、n-6系(ω-6系)多価不飽和脂肪酸に分類される必須脂肪酸(不可欠脂肪酸)です。
リノール酸(linoleic acid)は植物油に多く含まれ、紅花油、フマワリ油、コーン油、菜種油、綿実油、大豆油など、
安価な食用油として食品の多くに使用され市場に流通しています。
リノール酸の必要量は非常に少く、一般的な食事で不足する事はほとんどありません。通常の食生活で、リノール酸は過剰摂取の傾向にあり、摂取量には注意が必要です。
リノール酸は、人間の体内で合成することができず、食品から摂取しなけらばならない必須脂肪酸(不可欠脂肪酸)ですが、
リノール酸は悪玉コレステロールと共に善玉コレステロールまで減少させてしまい、血圧を上げてしまいます。
また、リノール酸の過剰摂取は、リノール酸から合成されるアラキドン酸(神経、免疫、生殖などの調整機能物質)を、
必要以上に体内で大量に産生し、過剰な反応を起しやすい状態にしてしまいます。
アラキドン酸は体内で過剰になると、血液の凝固を促進し、血管内での血小板凝集を引き起こして、動脈硬化や心臓病の発症のリスクにつながることが指摘されています。
また、神経系や免疫機能物質も過剰に増え、免疫の過剰反応(アレルギー反応)に関係した炎症反応の悪化、アレルギーの発症率の増加にも関与すると考えられています。
すなわち、リノール酸の過剰摂取は、アレルギー性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などのアレルギーの発症率の増加、
慢性炎症性疾患の悪化などの悪影響が指摘されています。
さらに、リノール酸は酸化されやすく、活性酸素と反応して過酸化脂質になります。過酸化脂質は、体内から排泄されずに蓄積されます。
蓄積した過酸化脂質は、臓器や細胞組織の内部へと徐々に浸透していき、細胞そのものを傷付け破壊していきます。
過酸化脂質による細胞の破壊やDNAの損傷などが、細胞の老化を進める他、
肺ガン、乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン、膵臓ガンなどの発症率を促進させる危険因子になることが分かっています。
リノール酸(n-6系(ω-6系)多価不飽和脂肪酸)の有害作用に対して、α-リノレン酸(n-3系(ω-3系)多価不飽和脂肪酸)は競合的に働き、
リノール酸の有害作用を阻害し、抑制し合う関係にあります。つまり、α-リノレン酸は、アラキドン酸の悪影響を和らげる働きがあります。
α-リノレン酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)や、エイコサペンタエン酸(EPA)に合成・変換されると、
必要以上のアラキドン酸の生成を抑制して、過剰な反応や作用を抑制します。
その為、リノール酸(n-6系(ω-6系)多価不飽和脂肪酸)の摂取は、α-リノレン酸(n-3系(ω-3系)多価不飽和脂肪酸)との摂取量のバランスが重要です。
α-リノレン酸は、えごま油(しそ油)、アマニ油(亜麻仁油、フラックオイル)などに含まれています。
共役リノール酸
共役リノール酸とは、リノール酸と同じく2つの二重結合を持っていますが、
通常のリノール酸の二重結合とは構造が異なり、炭素鎖中に共役二重結合(二重結合の位置が共役している)を持つリノール酸の幾何・位置異性体です。
共役リノール酸(Conjugated linoleic acid ; CLA)は不飽和脂肪酸の一種で、「異性化リノール酸」とも呼ばれる共役脂肪酸です。
共役リノール酸(CLA)は、反芻動物(牛や山羊など、反芻胃を持つ動物)が、リノール酸を含んだ飼料を食べて消化すると、
反芻胃内や消化管内に住む種々の微生物の働きにより、リノール酸の構造を組み換えて共役リノール酸に変化させ生成します。
共役リノール酸(CLA)は、乳製品や肉製品に微量に含まれていますが、含まれる総リノール酸中に数パーセントしか共役リノール酸(CLA)は含まれていません。
共役リノール酸(CLA)には体脂肪増加の抑制作用があり、エネルギー代謝系を体脂肪が燃焼されるように仕向け、体脂肪を減少させます。
消化吸収され体内に蓄えられた脂肪は、ホルモン感受性リパーゼによって分解され、エネルギーとなって使われます。
つまり、共役リノール酸(CLA)は、脂肪をエネルギーに変えるホルモン感受性リパーゼの働きを活発にし、体内に脂肪が蓄積するのを抑制します。
共役リノール酸(CLA)の体脂肪減少効果は、1日当たり2g程度の共役リノール酸(CLA)の摂取が奨められています。
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